ケニア
大統領選挙を終えて
<2013年4月掲載>
ケニアでは2013年3月4日に総選挙が実施されました。今回の選挙はケニア史上最も複雑な選挙といわれており、大統領や国会議員、知事など合計6つの投票が行われました。登録有権者は全国で1430万人に及び、投票所は約3万か所設置されました。
有権者登録が行われた昨年末は、首都ナイロビ市内のショッピング・センターのなかにも臨時登録所が設けられ、買い物帰りのケニア人が長蛇の列を作りました。選挙管理委員会は、携帯のSMS(ショート・メッセージ・サービス)を通じて市民に有権者登録を促しました。「政治家の悪口を言うだけでなく、自分で何かをしよう。悪い指導者は、投票しない市民によって生まれるのだから。」こうして2007年以来初めて行われる大統領選挙に投票するケニア人の意欲は、徐々に高まっていきました。
昨年後半からの数か月間、前首相のオディンガ候補とケニア初代大統領の息子であるケニヤッタ候補らが熾烈な選挙戦を展開してきましたが、僅差でケニヤッタ候補が勝利しました。敗れたオディンガ候補は憲法にのっとって裁判所に異議申し立てを行いましたが、最高裁の決定を受け入れて、潔く敗北を受け入れました。一部の地域で小規模なデモや抗議活動はあったものの、危惧されていた大規模な暴動や衝突が起こることはなかったのです。
JCCPの事業活動地であるナイロビ市内のマザレスラムでも、選挙前から暴動を抑止する取り組みがいろいろと行われてきました。例えば、選挙前には成人男性が民族ごとに固まって政治談議をする夜の集会が急増したのですが、それに対抗してあえて多様な民族出身のグループをつくって民主主義について幅広く語るフォーラムを現地住民が自発的に企画・実施しました。「平和のために団結しよう」というスローガンを掲げた啓発イベントでは、伝統的なダンスや寸劇を取り入れて、5千人近くの現地住民にメッセージを届けることに成功しました。マザレスラムの長老や警察がともに紛争解決について協議する研修フォーラムでは、意見交換のみならず今後の治安改善に向けた共同行動計画を策定することもできました。ここまで深い信頼関係を現地住民と構築できたのは初めてである、とケニアの現地警察関係者はコメントを寄せています。
無事に選挙を終えた3月7日、JCCPは在ケニア日本大使館との間でコミュニティ平和構築事業2年目の契約書に署名しました。1年目の事業で培ったマザレスラムの現地住民や警察関係者らとの信頼関係をもとに、コミュニティの治安改善をすすめ、草の根レベルの着実な平和構築を継続していく予定です。ナイロビ市内で署名式に参加したJCCPのケニア人職員らも、この先駆的な平和構築事業に貢献できることを誇りに思っています。









