非政府組織と紛争予防

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期待されるNGOの役割

 今日の国際社会において紛争予防を展開するには、手段・主体ともに包括的アプローチを採用すべきであり、国連及びその加盟各国は市民社会の役割に期待している。紛争地域の社会に根付いた活動、内政不干渉原則に阻まれた主権国家群を補完する活動、政治的には解決できない紛争当事者間の心理対立を緩和する活動等は、市民社会の中から生まれたNGOの得意分野である。各国政府や国連などの主権国家間外交だけでは、様々な利害対立が絡まる国内紛争の予防は困難である。

紛争進展の4段階

 紛争進展の4段階に従ってNGOの果たすべき役割を考えたい。

  1. 紛争の発生が差し迫っていない第1段階では、紛争発生に至るような事態を回避しなければならない。紛争予防の意義についての市民啓蒙、紛争予防に携わる人材の育成、現地における潜在的な紛争当事者間の信頼関係構築といった活動がある。
  2. 紛争の発生が差し迫った第2段階においては、その発生をいかに予防するかが大事だ。現地住民と接する中、難民や部隊の大規模な移動など紛争発生の兆候を一早くとらえ、紛争の発生が近いことを国際機構や政府に通報する早期警報の発信、当事者への仲介・調停活動の実施、発生をくい止めるための国際世論の形成などが考えられる。 
  3. 紛争が発生した第3段階においては、その拡大予防とともに発生した紛争を早期終結に導く必要がある。当事者への仲介・調停や被災者への人道的救援、紛争激化を回避するための国際世論への訴えといった活動にも国家的な利害から自由なNGOが関われる。
  4. 紛争が終結した第4段階においては、その再発防止が求められる。人道援助や難民帰還の支援、地雷除去や小型武器の回収・廃棄、元戦闘員の社会復帰、自由選挙の実施、民主化支援、人権保障の監視等を、NGOが各国政府と連携して実行することが期待される。武器の回収や廃棄は本来国連平和維持軍の任務だが、それが容易でないため市民社会の協力が求められている。すでにアフリカ、中米などで多くのNGOが小型武器回収に協力している。日本とEU諸国が連携し小型武器問題に取り組んでおり、その一環として当センターはカンボジアでも、現地NGOと協力しつつ問題解決に貢献している。

NGOにとっての課題

アフガン復興NGO会議の紛争予防分科会
を司会する前伊藤理事長(左から5人目)

 紛争予防においてNGOの果たすべき役割は大きいが、NGOが克服すべき課題もある。従来、NGOは主に個別組織単位で活動してきたが、包括的アプローチの観点から国際機関や他のNGOと協力すべきである。各NGO間の競合、重複を回避するには、各実施主体間の調整が重要である。

 NGOが反政府勢力との接触など政府機関が真似できない力を持つとしても、その行動如何によっては紛争予防に貢献するどころか紛争発生やその激化を煽る可能性もある。NGOは紛争当事者に対し、活動の中立性を常に欠かさない努力をすべきだ。

 民間のNGO職員が紛争予防活動に従事するには危険を伴う。現地で緊張が高まり武力衝突の発生が予想されるときや早期警報が発信された場合に、どの段階でNGO職員を撤収させるべきであるか、現地政府や本国政府のみならず、活動に従事するNGO自身が対応策を講じなければならない。

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