冷戦後の世界は、民主主義や市場経済や情報革命に代表される統合力と、地域紛争や難民問題や貧困問題に代表される分断力により突き動かされている。統合力は先進諸国において力を発揮し、人類史を新発展段階に押し上げる主導力となっている。分断力は、後進諸国において猛威を奮い、国家、社会を解体させ、混沌状態を拡大再生産することにより、先進諸国を含む地球全体の平和と発展を脅かしている。この問題に目を瞑っては、いくら統合力の成果を強調しても、先進諸国だけの孤島の繁栄を維持し、発展させてゆくことはできない。
 地域紛争において、発生後に軍事的に対応したり(湾岸戦争の多国籍軍)、紛争解決後に停戦監視のため の平和維持部隊(PKF)を派遣することも必要だが、更に望ましいのは紛争発生前にその発生を未然に予防する措置をとることだ。これが紛争予防と呼ばれている活動だが、21世紀を迎えた国際社会において日本が取り組むべき国際貢献の分野である。前世紀の日本は、前半でアジアに戦争の惨禍をまき散らす過ちを犯したが、後半にはこの過ちを再び繰返さないと誓うと同時に、ODA等で世界の安定と発展に貢献してきた。
 21世紀の日本は、経済以外の分野(平和追求等)でも役割を果たさなければならない。日本は「何もしない」消極的平和主義から「何かをする」積極的平和主義に転換しなければならない。ここにおいて、21世紀の日本人にとっての紛争予防の意味が浮彫りになる。政府のみならず一般市民も自覚を深めるべきである。顔のみえる人的貢献に参加することが重要との認識に基づいて、日本予防外交センター(日本紛争予防センター の旧称)は、世界の紛争地点における日本人自らの紛争予防活動を組織する推進力になりたいとの理想を掲げ、1999年7月19日に発足した。さらに2002年2月28日には日本予防外交センターは特定非営利活動法人として法人格を取得し、名称を「日本紛争予防センター」と変更した。

 


理事長 石井一二