2013年5月9日南スーダン活動報告会
5/9南スーダン活動報告会
-在南スーダン代表による報告-
■日時 2013年5月9日(木) 18:30-20:30
■場所 JICA地球ひろば 6F
■報告者
JCCP南スーダン代表 日野 愛子
JCCP事務局長代行 石井 由希子
在南スーダン代表が日本に帰国するにあたり、活動報告会を開催致しました。南スーダン共和国の首都ジュバにおけるストリートチルドレンの家庭調査の内容などをふまえ、2年半弱在南スーダン代表として草の根レベルの平和構築活動に従事していた日野からご報告いたしました。当日は、55名の参加者の方にお集まりいただきました。活動報告会の内容をレポート致します。
南スーダン概要
スーダンは長らく、南北間の紛争とダルフール地方での人道危機に苛まれていました。2005年に包括的和平合意(CPA)が締結されるまで、紛争は20年以上も続き、南部においては400万人以上の難民が発生しました。南スーダンは、2011年1月の住民投票により同年7月9日に独立を果たした、アフリカで54番目の新しい国です。現在南スーダンには10州ありますが、JCCPは首都のジュバで活動をしています。
『Annual Statistical Yearbook 2010 』(RSS National Bureau of Statistics)によると、南スーダンの人口は8.26百万人といわれています。そのうち、18歳以下が51%、30歳以下が72%の典型的なピラミッド構造です。南スーダンでは長い間紛争が続いていたため、30歳以上の男性が少ない人口構成になっています。識字率は27%で、1日1ドル以下で暮らす貧困層が、51%を占めます。人口一人当たりの国内総生産が1,546USD、2010年の国家予算は21億ドルで、昨年度の奈良市の予算と約同じ額です。歳入に占める石油収入の割合は98%で、石油生産を止めると、歳入に大きな影響を与える財政構造になっています。
JCCPの南スーダンでの活動について
南スーダンの首都ジュバには、戦争で親をなくした孤児、貧困により親が子どもを養ったり学校に送ったり出来ない家族、 武装勢力にとらわれていた子ども、難民キャンプから帰ってきたけれど住む家がない人々があふれています。JCCPは、家や親をなくして路上生活をするストリートチルドレンや若者に対し、啓発を行うとともに職業訓練を実施しています。また、2012年8月から、JICAの資金協力を受け、中央エクアトリア州社会開発省の職員や現地NGOであるStreet Children Aidの職員と共同で「ストリートチルドレンの家庭調査」を実施しました。
啓発活動について
JCCPでは、ストリートチルドレンに対して啓発活動を行っています。彼らは、路上で生活をしており、市場の残飯をもらって日々生き延びています。野良犬や野良猫が食べるものと同じものを食べ、それが体に悪いことすら理解していません。また皿洗いなどをして稼いだ日銭で、質の悪いアルコールや薬物などを購入して摂取しています。
そうした子供たち200名に対して、アルコールや薬物が健康を害すること、性暴力をふるうことはよくないこと、などについて啓発活動を行いました。この啓発によって、家族のもとに戻った子供たちもいますが、未だに路上に住んでいる子供もいます。JCCPの事業活動だけでは衣食住全てをまかなうことや、ストリートチルドレン全員に対して必要な支援をすべて実施することは難しいため、現地政府や他のNGOなどにも呼びかけて包括的な支援を可能にするための調整を行っています。
(啓発前の様子)
(啓発後の様子)
職業訓練について
JCCPは調理補助・給仕の職業訓練を行っています。具体的にはホテルやレストランのウェイター・ウェイトレスの仕事などです。すでに大工や鉄鋼、メカニックなどの職業訓練は他団体によって実施されていたこともあり、近年成長が著しい外食産業における調理補助・給仕の労働力の需要が増加することを見込んで、この職種に絞った職業訓練を実施しています。実際に紛争終結後にホテルが多数建設され、調理補助・給仕の仕事のニーズは増えました。
ストリートチルドレンには、丁寧なコミュニケーションをとる意識やお客様を大切におもてなしする感覚が乏しいため、職業訓練は簡単ではありません。職業訓練にはジュバ市内の若者を対象にひろく応募者を集めていますが、全体の5-10%はストリートチルドレンから選出するように努めています。
職業訓練で一番の問題は、今まで仕事をしたことが無い人が大半であるため、社会人としての基本的習慣が身についていない事です。例えば、仕事に行くのが嫌だと思ったら、連絡もせずに休んでしまいます。そのため、職業訓練生には、上司に連絡せず欠勤してはいけないということや、嫌なことがあっても職場から突然消えない、という基本的な注意をする必要があります。また、失敗したら素直に謝ることや、指導的注意と侮辱を区別してとらえることを繰り返し伝えます。ホスピタリティという概念にも慣れていないため、お客さまに対して怒ってはいけないということや、自分を完璧だと思ってはいけない、ということもあわせて伝える必要があります。
(職業訓練の様子)
(職業訓練 卒業式)
シェルター提供
JCCPが現地の住宅を数部屋借りて、ストリートチルドレンでありながら職業訓練に参加している子供たちを一時的に住まわせています。職業訓練は2009年から行っていますが、数々の苦い経験をふまえて、2011年にシェルター提供を開始しました。ストリートチルドレンは、はじめのうちこそ職業訓練に来ますが、たとえば夜間路上で就寝中に警察に捕まったり、些細なもめごとで友人に殴られて怪我をしたり、継続的に職業訓練に参加することが困難な状況だったのです。せめて職業訓練に参加する間は落ち着いて訓練に集中できる環境を整えたいという趣旨で、シェルターの提供も始めました。
(4年間路上生活していたアブラハム。初めは笑顔が出なかったが、2か月間の研修を経て、OJTを始めたころに笑顔がでた。今はレストランで調理補助の仕事についている。)
ストリートチルドレンの家庭調査について
そもそも、なぜストリートチルドレンがこんなに多いのか根本的な原因究明が必要とされていたため、ジュバ市内のストリートチルドレンに関する調査を行いました。なかには、ジュバ市内に自分の家があるにも関わらず、路上で暮らしている子供たちもいます。そのような子供たちの家庭訪問を行いました。
家庭訪問では、予想以上に多くのご家庭がオープンに調査に協力してくださいました。
調査の結果、ストリートチルドレンが生まれる要因は複数あることが判明しました。例えば、収入と支出の均衡が取れていない家庭が多くありました。仕事や収入のない成人男性が十分に家族を養えず、食べるものがろくにない子供たちが路上に出ていくという状況です。その他、元兵士らは、紛争中の恐怖やトラウマを紛らわせるために飲酒の習慣をつけてしまうことがありますが、紛争後に家庭に戻っても飲酒がやめられず、飲酒をめぐるトラブルや家庭内暴力から逃げるように路上で暮らしているというような状況が、起こっていました。
(家庭調査の様子)
心理ケア研修
JCCPの南スーダン人職員や、南スーダン政府当局、現地NGOの関係者に対して、薬物・アルコール中毒の若者たちとどのようなコミュニケーションをとるべきかという視点から、カウンセリングの基礎的技術に関する研修しています。現地の政府当局やNGOと共に活動を行うなかで、JCCPのもつノウハウを現地のカウンターパートに移譲していくことを目的としています。
アンケートの結果
活動報告会のアンケートによると、98%の方が、「十分満足」もしくは「満足」していただいた結果となりました。また、下記のようなご感想もいただいております。
○なかなか聞くことのできない南スーダンの人材育成について聞くことが出来、内容も詳細で大変興味深かった。
○写真、映像等もあり、現場の様子がありありと伝わってきました。質疑応答の時間も多くとっていただいてよかったです。
○興味のあった途上国での支援の実態について現場の視点から丁寧に教えてくださり、非常に参考になった。
会場の都合で質疑応答時間が30分ほどとなっておりましたが、引き続き多くのご質問を頂きましたので、当日回答できなかったご質問につきましては下記に記載いたします。今後は質疑応答時間を十分に確保し、報告会の改善を行ってまいります。
□追加質問への回答はこちら□
2013年3月18日ケニア・ソマリア活動報告会
沢山の方にお越し頂きました。ご参加誠にありがとうございました。
在ケニア・ソマリア代表事務所の駐在スタッフが日本に一時帰国するにあたり、活動報告会を開催致します。
ケニア首都ナイロビにあるマザレ・スラムでのコミュニティ平和構築事業、ソマリア・プントランド首都ガロウェでの干ばつ被害者・女性被害者支援を中心に、3月のケニア大統領選挙やソマリア情勢についても触れつつ、ご報告させていただく予定です。
皆様のご参加をお待ちしております。
日程:2013年3月18日(月)
時間:午後6時30分〜8時00分
会場:日本紛争予防センター東京本部事務所 会議室
(東京都文京区関口1-35-20 藤田ビル3F)
アクセス方法はこちら
参加費:500円(資料代および寄付として活動費とさせていただきます。)
定員:30名
申込方法:メールにて参加希望を受付けます。
件名を「活動報告会参加希望」とし、①氏名と②ご所属をご記入の上、[email protected]までお送り下さい。こちらで参加希望の受付を完了した方に、メールにてご返信いたします。
報告事業概要
◆ケニア首都ナイロビ マザレ・スラムでのコミュニティ平和構築事業
ナイロビ第2規模のスラムであるマザレ・スラムは、異なる民族に出自を持つ約20万人の人々がひしめきあって暮らしています。2007年末に行われたケニア大統領選挙では大規模な民族間の暴動が発生しましたが、マザレ・スラムも例外ではなく、暴動が落ち着いた後も、争い合った民族同士が隣り合って生活しており、加害者と被害者の謝罪や和解も部分的にしか達成されていません。そのため、多くの住民が暴動発生の危険性について不安を抱えてきました。
そこで、JCCPは、2012年3月より争いや暴力が発生しにくい社会を築くために、被害者への心のケア、早期警戒ネットワークづくり、民族間のコミュニケーションに向けた共同清掃、住民・警察官の協力関係作りなどからなる、「コミュニティ平和構築事業」を開始致しました。
◆ソマリア・プントランド首都ガロウェ 干ばつ被害者・女性被害者支援
ソマリアは、2010~2011年にかけて東部アフリカを襲った干ばつにより深刻な被害を受け、また同時期に、南部では戦闘が激化しました。避難を余儀なくされた国内避難民の女性の中には、性差別的暴力の被害を受ける者も多く、またキャンプ内では過酷な生活環境に置かれています。
JCCPは昨年2月に支援を行ったプントランドのボサソに続き、昨年8月からはガロウェに重点を移し、性暴力や住民間の問題による深刻な被害やトラウマに苦しむ避難民への支援を実施しています。現在、衛生・生活改善衛生・生活改善のための物資配布とそれらの使用法・衛生に関する知識の指導と共に、性暴力の防止と被害者の救済の仕組みづくりに取り組んでいます。
報告者紹介
◆石井 由希子
在ケニア・ソマリア代表。バルカン半島・中東・アフリカの紛争地を中心に、国連やNGOのほか政府・大学・財団などで、平和構築および人道援助に従事。2011年3月よりJCCPに勤務。
◆佐藤 愛里子
在ケニア・ソマリア代表事務所プログラム・マネージャー。英国の民間会社で働いた後、就労支援を行う社会的企業で勤務しながら、厚生労働省にて生活保護者やホームレスの自立支援政策に取り組む。2011年8月よりJCCPに勤務。







