紛争はどうしたらなくせるのか

 私たち日本紛争予防センター(JCCP)は、世界中で起きている地域紛争・民族紛争等を未然に防ぐ(狭義の紛争予防)だけでなく、起こってしまった紛争はそれが拡大しないように(拡大防止)、さらにはいったん合意された停戦や和平についても、再び紛争が発生しないように(再発防止)、そして永続する平和のための基盤を強化する(平和構築)ために活動しています。1999年7月に「日本予防外交センター」として設立されましたが、2002年2月にNPO法人格を取得し、その機会に名称も「特定非営利活動法人 日本紛争予防センター」と改めました。
 東京本部では「紛争予防市民大学院」を開催し、「会報」他の紛争予防関連出版物を刊行するほか、インターネットを活用して「紛争予防対話掲示板」「紛争予防eシンポジウム」「アジア・太平洋紛争予防団体ネットワーク」等を運営し、また「スリランカ首相講演会」のような国際交流活動を展開しております。
 スリランカカンボジアアフガニスタンの各在外代表事務所では、「民族融和・民生安定化事業」「小型武器回収破壊事業」「若年除隊兵士の職業訓練を通じた社会復帰支援事業」「地雷除去事業」等の活動をしています。なお、パレスチナ代表事務所は現地の治安情勢悪化にともない、2001年5月以降閉鎖されています。
 以下に、これらの諸活動のうち、主要なもののみをいくつか紹介してみましょう。

紛争予防市民大学院

 戦後の日本人には紛争や戦争へのアレルギーがあって、それらに関わることへの抵抗感と日本人の紛争予防分野への進出の足を引っ張ってきたことは否めません。そこでJCCPは、若者や一般の社会人を対象にして、紛争予防がいかに人類にとって大切な仕事であるか、さらには紛争予防の理論、実務、政策を教室および現場で学んでもらうために、その創設の初年度から「紛争予防市民大学院」を開催してきました。「紛争予防市民大学院」は、「公開講座コース」「セミナーコース」「海外研修コース」の3つのコースから成り、大学院レベルの教育・研究・訓練の機会を提供することにより、紛争予防を中心として、将来広く各方面で活躍する国際人の養成を目的としています。市民大学院のOB、OGたちは、当センターの本部および海外で職員として勤務するほか、国連ボランティアとして、あるいは各国のNGOやシンクタンクの職員等として、まさに世界各地で活躍しています。

紛争予防対話掲示板

 世界各地の紛争について、紛争当事者や関心のある人々が自由な立場で対話を行なえば、両当事者間の相互理解を促進し、さらには紛争それ自体の緩和や解決にも寄与できるのではないかと考え、JCCPはインターネット上に英語を使用言語とする “Dialogue Webpage for Conflicts Worldwide (DWCW)” を運営しております。この掲示板には「スリランカ」「パレスチナ」「イラク」「アフリカ」「国際テロ」など19の紛争ないし問題のページが開設されており、2002年末現在で世界中から1400通の寄稿が寄せられ、寄稿者の間で活発な意見が24時間交わされています。またこの他に“e-Symposium on Conflict Prevention” という全世界を対象とした英語によるシンポジウムも定期的に開催されています。 いずれも全世界で唯一の紛争予防掲示板およびシンポジウムですので、皆様もぜひ一度 http://www.dwcw.org にアクセスしてみてください。


民族融和・民生安定化事業

 地域紛争は、民族間・宗教間の対立と言われることが多いですが、実際はそう単純ではなく、対立の中核には経済的或いは政治的利害関係あるいは社会構造的問題が深く根ざしていることがほとんどです。そこでJCCPはスリランカ、アフガニスタンで「紛争予防ワークショップ」と呼ばれる平和教育プログラムを実施しています。 地域のリーダーや警察官、青年等を対象にして、紛争の本質の理解、対話のスキルの養成、人権・平和の重要性の教育等を目的にした様々な研修、討論などの機会を設定しています。 研修や対話を通して参加者を受容、和解、共生へと導くことで、平和構築に貢献することを目的としています。参加者は地元に戻り、小規模のワークショップを開くこと等により、その知識や体験を地域に還元することが予定されており、紛争予防を担う人材の裾野を広げることにもつながる事業です。

小型武器回収破壊事業

 紛争後も数多くの武器が未だ人々の手に残っており、人々の争いの原因となっています。そこでは「暴力の文化」「武器の文化」が人々の生活を支配し、真の意味での平和の回復を妨げています。 もちろん経済復興や開発も困難となります。 武器、とくに小型武器を回収することは、「平和の文化」を創造するための第一歩です。 そこで、JCCPは、カンボジアにおいて、“Weapons for Development”と呼ばれるキャンペーンを展開しております。武器所有の違法なことを強調して、法的強制力をバックに回収するだけでなく、武器を提供した地域にはその見返りとして井戸や溜池を掘る地域開発とセットにした回収方法です。単に武器提供の代価として金銭を提供する手法に比べて、経済的自立を促すという効果もあります。

若年除隊兵士の職業訓練を通じた社会復帰支援事業

 和平成立後の復興段階において、若年除隊兵士をどう社会復帰させ、平和構築にどうつなげるかは重要な問題の一つです。和平が成立しても、除隊兵士に収入を得る術がない限り、また武器をとり、兵士に逆戻りしてしまうことが多いからです。そこで、JCCPはアフガニスタンにおいてかれらのために大工、レンガ工等の職業訓練コースを実施すると共に紛争再発防止の趣旨で毎日一時間の平和教育及び識字教育も実施しています。

地雷除去事業

 紛争後平和と安全を確保し、復興と開発を進めていくうえで大きな障害となるのは紛争地のいたるところに埋められている地雷の存在です。日本は、今まで人材・技術面の問題や戦後平和主義の思い込みもあり地雷除去のような直接武器に手を触れる貢献からは遠ざかってきました。しかしながらJCCPは、日本で唯一の紛争予防を専門とするNGOとしてこの仕事に正面から取り組むことを決意しました。このためには先ず専門家の育成が必要です。二名の要員をスリランカに派遣し、訓練を開始することとしました。はじめは小さな一歩ですが、地道な努力と皆さんのご支援を得て、JCCPの目玉事業の一つに育てていきたいと考えています。

特定非営利活動法人日本紛争予防センター(JCCP)
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