スリランカ全国仏僧会議開催さる
2001/7/31

 日本予防外交センター南西アジア代表事務所は、スリランカ最大のローカルNGO「サルボダヤ運動(Sarvodaya Sharamadana Movement)」と共同で2001年7月13日にスリランカ全国仏僧会議を開催した。この会議は社会的に大きな影響力を持つ仏教僧侶たちを平和運動の中に取り込み、草の根からの平和運動を全国的に展開することを目的に開かれ、スリランカ全国より約500人の仏教僧侶が参加した。

スリランカ全国仏僧会議のもよう

 スリランカでは人口の約7割が仏教徒を占める。仏教僧侶は宗教活動を通して精神的指導者として地域住民に影響を与えるだけではなく、多くの僧侶が学校で教鞭をとり、教育者としても大きな影響力をもっている。熱心に仏教を信仰する者の多いこの国では、仏教僧侶の社会的影響力は絶大である。

 会議の冒頭では、サルボダヤ運動の会長アーリヤラトナ氏(Dr. A.T. Ariyaratne)よりスピーチがあり、サルボダヤが今まで行なってきた住民参加型の地域開発および平和瞑想などの活動について紹介した。続いて、サルボダヤ運動のビンヤ所長(Dr. Vinya Ariyaratne)はサルボダヤの今後の平和運動計画「The Sarvodaya Peace Action Plan」について説明した。

 当センター南西アジア代表事務所からは野崎代表がスピーチを行った。その中で代表は当センターがスリランカにおいて平和運動・予防外交活動を行なっている理由および本会議開催を支援した理由として次の3つを挙げた。

  1. 第二次世界大戦終了後の1951年、サンフランシスコ講和会議でスリランカ政府代表であったJ.R.ジャヤワルダナ蔵相[後、大統領](J.R. Jayawardena)は仏陀の言葉を引用しながら次のようなスピーチを行い、対日賠償請求権を放棄した。「憎しみは憎しみによってやむことはなく、愛によってのみやむ。(Hatred ceases not by hatred, but by love)」われわれ日本人は、このことを忘れることはできない。
  2. スリランカは天然資源や人的資源において大変豊かな国であり、社会・経済発展のためのポテンシャルは高い。しかし、継続的な社会・経済発展のためには「安定」が絶対的必須条件である。18年も続いたこの紛争を一刻も早く終結させなければならない。
  3. 仏教僧侶は民衆の精神的指導者である。言い換えれば、あなた方は民衆レベルでのオピニオン・リーダーであり、ピース・メッセンジャーである。あなた方は民衆を率いて社会を変えていく力を持っている。
野崎代表によるスピーチ

 午後のセッションでは、コロンボ全国23県ごとに代表者が任命され、草の根レベルでの平和運動を展開していくための全国仏僧組織が設立された。また、各県での活動を統括する中央組織の会長、副会長、事務局長、監事が任命された。これにより宗教指導者による全国的な平和運動が開始されることになる。

 会議終了後、参加した僧侶にインタビューをしたところ次のような声があった。「日本予防外交センターが開催してくれたこのような会議はスリランカの平和のために役立ちます。」「われわれ宗教者はこのような会議を持つことを長い間夢見ていました。しかし、財政的にも組織能力的にもこのような大きな会議を開き、宗教者の全国組織を立ち上げることはできませんでした。日本予防外交センターとサルボダヤ運動の支援に感謝します。」

 今回の会議は大きな成果を残し、成功裏に終えることができたが、これは和平実現という大きな目標のための小さな一歩に過ぎない。今回設立された全国仏僧組織が中心となって、これから平和運動・平和教育を行なうための教材・指導書を作成する。これをもとに全国で草の根レベルの平和運動を活発化させ、大目標である「平和」の実現をめざす。当事務所職員一同、今回の会議成功に安堵しつつも、今後の和平への長い道のりを再確認し、気持ちを新たにしている。

以上 

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