スリランカ・ムスリム会議の動き、政府不信任動議及び和平状況
2001/7/5

 今回は6月のスリランカ政治情勢のなかで特に注目されているスリランカ・ムスリム会議(SLMC)の連立与党離脱、政府不信任動議及び和平状況の3点に焦点をあて、報告したい。

1.スリランカ・ムスリム会議(SLMC)の連立与党離脱による与党過半数割れ

 6月20日、クマーラトゥンガ大統領は、スリランカ・ムスリム会議(Sri Lanka Muslim Congress; SLMC)総裁のハキーム(Hakeem)通商・商務・海運・開発大臣を突然解任した。解任理由として大統領は、ハキーム大臣が内閣の連帯責任に反し、カルムナイ県創設要求(東部州のムスリム多住地域を自治県として認めさせようとするもの)をはじめ、自らの利益を強硬に追求しつづけていることを挙げ、同氏を「スリランカにとっての脅威(national threat)である」と厳しく非難した。これにより同総裁を含むSLMC議員7名が解任への対抗措置として連立政権を離脱し、野党側に移った。その結果、国会における与野党議席数が逆転し、与党は1948年の独立以来初めて国会で過半数割れすることとなった(表1参照)。これに続き22日、最大野党の統一国民党(United National Party; UNP)および野党のタミル系諸政党は、政府不信任動議を国会に提出し、クマーラトゥンガ政権を退陣に追い込もうと画策をしている。

 このような与野党間の激しい政治的駆け引きのさなかの22日、大統領と最大野党UNPのウィクラマシンハ総裁(Ranil Wickremasinghe)は対LTTE和平問題について話し合った。その中でウィクラマシンハ総裁は政府の和平イニシアティヴを支持する旨を表明した。両総裁は和平プロセスを前進させるため、両党間での建設的な対話を行なうことに合意した。これは、内政が流動的な状況の中でもLTTEに対してつけ入る隙を与えないための政治的意思表示であろう。

 一方、LTTEは一連の内政の混乱に関し特に反応を示しておらず、事態の展開を見極めようとしている模様である。ただし、内政の混乱に乗じて北・東部での大規模な攻勢を計画しているとの見方も一部にある。


2.政府不信任動議

 野党UNP及びタミル諸政党議員計97名が6月22日に政府不信任動議を国会議長に提出した。不信任動議の投票日は7月18日とみられる。仮に不信任案が成立した場合、国会機能が停止し、国会解散となる可能性が高い。その場合、法律により国会選挙は前回の選挙から1年以上経たなければならない為、昨年10月選挙から1年後の今年10月に国会総選挙が行なわれる。

 現在各政党の不信任に対する投票態度には不明な部分も多い。キャスチングボードを握るJVP(10議席)とSLMC(7議席)の支持を得るべく、与党PA、野党UNPの双方とも積極的な働きかけを行なっている。スリランカ国会の定員は225名で過半数は113名であるが、与党PAはハキーム大臣解任に伴いイスラム政党SLMCが離脱したため、現在109議席の少数与党となり、過半数に4議席がたりない状態である。最も注目されている左翼政党のJVPは、政府の政策に批判的であるが、独自の路線を守るため、野党UNPの不信任動議を支持しない可能性が高い。また離脱したSLMC自身もUNPに迎合せず独自の野党勢力として政策課題ごとに投票態度を決定する旨表明しており、不信任成立の可能性は先が読みにくい状況となっている。現在、与党側は不信任決議の延期を画策している模様。


3.和平状況

 スリランカ政府と反政府武装勢力LTTEとの間の信頼醸成を図るためノルウェーによる仲介努力が続けられているが、双方の意見の相違を埋めるにはいたっておらず、和平交渉のめども立っていない状況である。一連の内政問題もあり、和平への動きはしばらく停滞している。

 ただし、6月22日に与党PAのクマーラトゥンガ大統領と野党UNPウィクラマシンハ総裁が会談し、国会における不信任動議の対立にも関わらず、野党UNPは政府の平和イニシアティブを支持する旨表明、与野党トップは和平プロセスを前進させるため、PA-UNP間での建設的な対話を行うことに合意した。

 この間、反政府武装勢力タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)は一連の内政動向に反応を示しておらず、事態の展開を見極めようとしている模様であったが、内政の混乱に乗じて北部東部における大規模な攻勢を計画しているとの一部情報があり、スリランカ政府軍は6月30日に北部ジャフナ半島に近いプーネリン地区のLTTE基地に対し、ミグ27戦闘機などを投入して大規模な空爆作戦を実行した。LTTE側の被害は大きかった模様だが、詳細は発表されていない。

表1 Party Positions in the Parliament

Government 

  

Opposition 

PA

100

  

UNP

89

EPDP

4

  

SLMC

7

SU

1

  

JVP

10

Independent

1

  

TULF

5

 

 

TELO

3

 

 

ACTC

1

Total

106

  

Total

119

Source: The Island, page 1 21 June 2001

以上

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