WfD-小型武器回収・開発プロジェクトについて
2003/11/5

 小型武器とはピストルや自動小銃、機関銃、携帯ミサイルなど、1人または数人で携帯・運搬し使用できる武器を指す。国連の推計によると、全世界に蔓延している小型武器は5億を超えるともいわれており、うち半数以上が不法取引の対象であるともいわれている。入手が容易で、子どもでも操作が可能である。主要生産国は米国、ロシア、中国など。取引額は世界の年間武器貿易額の約5%にあたる40億~60億ドル(約5,000億~7,500億円)に上る。毎年50万人もの人々が犠牲となり、その8割を女性や子どもが占めている。まさに「事実上の大量破壊兵器」(アナン国連事務総長)なのだ。

 カンボジアには30年近く続いた内戦によって、50万丁ともいわれる小型武器が蔓延している。特に旧ポルポト派の元本拠地で、政府軍との衝突の激しかった地域周辺の北西部州には、治安に不安が残っており、いまだ多くの地域住民が武器を所持している。
 カンボジア政府はこれらの小型武器回収に取り組んできたが、いまだ約8~10万丁ほどしか回収されていない。2001年からEU主導で小型武器削減に取り組むプロジェクトが開始された。当センターも2001年から小型武器回収・開発プロジェクトを開始し、2003年10月現在で10州32郡にわたってプロジェクトを展開している。更に本年度より、日本のODAによる小型武器回収・開発プロジェクトも本格的に開始された。カンボジアのローカルNGOも、武器の不保持と平和の教育活動を熱心に行っており、国内・国際機関が一丸となってカンボジアの小型武器問題に取り組んでいる。

 ここで、当センターが実際に行っているWeapons for Development (WfD)ー小型武器回収・開発プロジェクトの概略について説明したい。「JCCPが窓口となって、武器に触れ、回収作業を行っているのですか」という質問をよく受ける。武器回収そのものはあくまでカンボジア政府の事業で、回収のための「窓口」となるのは警察と地方自治体である。当センターは地方自治体・警察機構と協力体制を組み、実際に武器を所持している地域住民に武器の供出を働きかけるキャンペーン活動(ワークショップ)を行っている。

カンボジア現地レポート:特定非営利活動法人日本紛争予防センター(地域紛争を予防するための民間セクターです:紛争予防,予防外交,地雷,小型武器,DDR,平和構築,スリランカ,カンボジア,アフガニスタン,内戦,平和,紛争,戦争,予防,国際,NGO,NPO,民族紛争,地域紛争,国際関係,人権)
ワークショップにてスピーチを行う当センター所員(右)

小型武器回収キャンペーン参加者

 このキャンペーン活動は、カンボジアの行政機構が「中央政府-州-郡-コミューン(複数の村の集合体)-村」とあるうち、郡以下のレベルを対象に行っており、一般住民の住む村々に直接当センターのスタッフが出向いて行う草の根的な手法を用いている。この際に、その地域の情報に精通しているカンボジアのローカルNGOと協力してキャンペーン活動を行う。キャンペーンでは武器法第38条に記載されている武器の不保持、平和の尊さ、武器の供出の対価として井戸の掘削などの開発事業が行われることを説明する。

プロジェクト活動地域

 カンボジアの地方は水不足に悩み、小さな子供や女性が時間をかけて徒歩で水を汲みに行かねばならない地域がいまだ少なくない。当センターの行っている小型武器回収・開発プロジェクトは小型武器供出の対価として、人間が生きるうえで最も必要な水資源の提供を行うものだが、地域によっては掘削をしても水がでないところがあり、そうした地域には、溜池の提供を行っている。
 活動する郡を決定し、キャンペーンによって村々を巡回した後、一定期間をおいて再度同じ場所に赴き、何丁の武器が回収されたのかを確認するため、モニタリングを行う。武器の回収数に応じて井戸や溜池などを作り、工事終了後さらに一定期間を置いてから武器がコミューンから郡、あるいは郡から州へ適切に供出されたかを再度確認する。
 こうして回収された武器は州に集められ破壊されるが、その破壊手法もこの3年余りで変化している。はじめは戦車などを用いての押しつぶし方式であったものが、最近では回収された武器を広場などに集め、焼却する方式がメインとなっている。また不発弾と抱き合わせて爆破する方式もある。重要なのは完全に小型武器を破壊し、再生・再使用という小型武器の「リサイクル」化を徹底的に防ぐことである。

供出された小型武器

報告者:鳴海ゆきの    

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