| 6月になって、カンボジアは今待ちに待った雨季に入りました。しかしまだ始まったばかりですから本格的には降っていません。1日おき程度です。 だいたいお昼過ぎ、空の一点に雨雲が発生したかと思うと、あっという間に広がり、風が吹きはじめ、ザーっと大粒の雨が降り出します。時には雷を伴うことがあります。道行く人たちは慌てて、軒下で雨宿りをします。道路が川に変わり、子供たちが水遊びを始めます。家の中は雨が窓から吹き込んだり、天井から雨漏りするなど対応に大童です。 この雨は半年間溜まりに溜まった街のほこり、ゴミを流してくれます。しかし最初はきれいに掃除されますが、排水溝がつまってくるため、しばらくすると逆流してきて、ゴミをまた押し戻してきます。水が退いたあとゴミがチャンと残っています。 30分から1時間経つと雨は止みます。あとは青空です。 雨は農村にとっては恵みの雨です。干からびた泥沼でゴロっと転がりながら水を待っていた水牛の群れが空を眺めて感謝しています。暑さと埃にまみれた人々に活力を与え、乾ききった大地に命の糧を施します。人々は雨を待って稲作の準備にとりかかります。水さえあれば2回は可能ですが、水がないために年1回しか収穫していません。 底をついていた溜池に水が貯まり始めます。井戸がないので、この溜池は村人の生活にとって貴重です。 我々の武器回収活動では回収結果に合わせ溜池を建設しています。 各家庭では庭においた大きな甕に雨水を受けて、生活用水として使っています。甕の大きさでその家の財力が分かるといいます。 都会の人たちは水道の水を利用していますが、上下水道のパイプに途中で穴があいたりしていてそのままでは飲めませんので、煮沸してから飲みます。外国人はペットボトルに入ったミネラルウォーターを買って飲みます。1.5リットル2000リエル(約60円)です。気をつけないと、なかには空ビンに家庭で沸かした水を詰めて売っているものもあるようです。 ラオスとの国境を越えて流れてくるメコン川は重要な交通路です。多くの人は車の代わりに船を利用します。あまり揺れませんので船旅は快適です。水量が増すと川の流れがゆったりしてきて船旅に適します。乾季では通れなかった川道も通れるようになります。 メコン川の水嵩が増すと、メコン川からトンレサップ湖に水が流れ込み、トンレサップ湖の面積が乾季の3倍位にも膨れ上がります。湖上では四方を見渡しても陸地が見えない場所もあり、さながら大海のようです。ベトナムなど下流地域の洪水を防ぐ、ダムの役目も果たしているのです。雨季が終わるとその水を再びメコン川に返します。 トンレサップ湖の水位は今が最低です。水面が低くなっているため、汚水が排水口から湖に流れ込むのがよく分かります。魚が大量に死んで浮いているのが見つかったと最近の新聞に出ていました。ちなみにトンレサップ湖は世界でも最大級の淡水魚の漁場で、なまずのような顔をした魚が食卓をにぎわしています。 カンボジアの川は赤土色をしていますが、山の近くにいくと、日本のような清流が流れている川に出会うことがあります。ほっとして川辺で一休みをし、足をつけたり、顔を洗ったりしたくなりますが、気をつけないと、その近くにはマラリア蚊がいます。マラリアにかかると後遺症がのこり、あとあとまで頭痛や高熱がでると聞きます。 本格的な雨が降る時期になると、道路がぬかるんで車が立ち往生したり、橋のない川が増水し、通行できなくなる道があちこちにでます。それでも水の中をバチャバチャいくわけですが、雨季の地方旅行はよく事前に調べていかないとひどい目に遭います。 あちこちで洪水が発生したり、あたり一面が泥水で埋まります。首都プノンペンも空から眺めると、泥の海の中に孤立した城のようです。各地で道路が寸断され、人々は小さな舟を自分で漕いで行き来します。家は床を2メートル以上も高い棒の上に乗せて作ってありますから、普通なら大丈夫ですが、計算以上の大水が出て床上浸水することがしばしば起こります。伝染病発生の危険性がありますので、赤十字やNGOが食料品と合わせ医薬品も緊急配付します。 世界遺産で有名なアンコールワットは治水対策のために作られたと言われています。治水は今でもこの国の重要な政策のひとつです。かの悪名高いポルポトも、人々を強制的に駆り立てて運河を作りましたが、技術が未熟だったため簡単に決壊し、今はほとんど用をなしていません。 水をうまく活用できるようになれば、カンボジアはもっと発展すると思います。 以上水に関係する話題を思いつくまま書きました。 報告者:田中 剛 |