| アフガニスタンにおいて日本も大きく関与している復興援助プログラムの一つに元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰プログラム(以下DDR)がある。具体的には武装解除・動員解除後、新設された国軍への入隊や職業訓練などを通して、元兵士を社会復帰させるという一連のプログラムを意味する。特に社会復帰プログラムは、元兵士の社会復帰の直接的な橋渡しをするプログラムであり非常に重要なものである。その一方で、本プログラムの直接裨益者は『元兵士』であるという特殊性に留意する必要がある。 アフガニスタンにおいてその半生を紛争に身をおいていた元兵士は、教育の機会及び職業の機会を逸しており、社会復帰にあたりこれらの点を克服するための『エンパワメント』が必要となってくる。社会復帰プログラムはそうした側面を有しており、現在アフガニスタンにおいて国連が取り組んでいるDDRではこのようなエンパワメントが行われている。しかしながら戦場という特殊な場所で半生を過ごした彼らにとってのエンパワメントは、職業訓練や軍隊への再編などといった『技術的』な社会復帰だけでなく、今後コミュニティーの中で社会生活を行う上での『マインド』もまた変えられるべきものである。 私が赴任した直後に持った元兵士との会談では、『俺たちの人生は既に終わっている』などという悲観的なコメントが多く聞かれ、将来の人生設計、将来のコミュニティ社会の発展、国の発展といった未来のビジョンが非常に希薄であった。今思えば当時職業訓練を行っているときも基礎教育を行っているときも、彼らはそれらを将来ビジョンと明確にリンクさせていなかったのだと思う。 このような背景から、JCCPアフガニスタン代表事務所が行う元兵士の社会復帰プログラムでは通常元兵士の社会復帰プロジェクトでのカリキュラムである、基礎教育(基礎計算・現地語の読み書き)と職業訓練(JCCPでは金属加工訓練を行っている)のほかに平和教育を行っている。平和教育の裨益性は長期的に計られるものであり、まだ日が浅い現時点での分析は困難であるが、その一方で最近の彼らの議論を聞いていると、紛争というものを客観的にとらえ、そして他人との協力やコミュニティーの重要性に対する前向きな姿勢が窺える。このような『マインド』の変化は職業訓練や基礎教育などへの取り組みなどといった姿勢にも影響を与えており、JCCPアフガニスタン代表事務所としては今後平和教育の正確な評価に務める一方で、専門家、地元住民との対話の中でより良い平和教育、ひいてはDDRのモデル作りに務めていく。 | | 平和教育ファシリテーターアブドラ氏と元兵士 | 平和教育ワークショップ | 日本紛争予防センター アフガニスタン代表代行 高木 博也 |