2003/12/2 | アフガニスタンのDDR計画とJCCPの役割 | | 日本紛争予防センター アフガニスタン代表 菊池 宣洋
| 現在、アフガニスタン代表事務所では「除隊兵士の社会復帰支援プロジェクト」を行なっています。アフガニスタンでは本年10月より、国内の治安安定を目的に政府と国際社会が協力し、兵士の武装解除、動員解除、社会復帰計画(DDR計画)を進めています。この計画は、同国の復興、発展のためには、治安安定が不可欠ということから、国内で10万人ともいわれる兵士を対象としています。これまでの長期間にわたるイギリスやソ連・ロシアの侵攻やそれに続く軍閥間の内戦により、アフガニスタンには「戦争の文化」が根付いていると言われています。特に地方部の住民は武器を取り、村落単位で武装集団を組織し、各地に割拠する軍閥の傘下で戦いを続けてきました。兵士・元兵士の7、8割は普段は村落に生活し、時に応じて自衛のために武器をとる人々で、軍閥直属の職業兵士(推定2~3万人)とは性格を異にしていると言われています。現在行なわれているDDR計画は、主にこのような非職業兵士を対象としています。ただ、これまでの「戦争の文化」を変えるのは容易ではなく、各人が複数所有していると見られる武器を全て回収し、武装解除させることは不可能に近いことです。また、動員解除後の再動員が行なわれる可能性も排除できません。現在のDDR計画の中では、武装解除に関しては各自に武器1丁の提出を求め、動員解除に関しては各地域司令官の前で除隊行進や宣誓をさせ、現金、衣服、食糧を支給することで対応しています。ただ、これらのプロセスに参加した人々がすぐに「戦争の文化」から脱却できるかについては疑問が残ります。複数所有する武器を売却あるいはDDR参加により授与される現金を元手に、最新の武器を購入して戦闘に参加することは十分可能です。DDR計画について、現地のラジオ・ニュースのなかで、「武装解除を開始したところ旧式または破損した武器が多数集まった」との皮肉な報道もあったほどです。 ここで注目されるのが、武装解除、動員解除後の除隊兵士の社会復帰です。ただ、残念ながらDDR計画の中でも期間的、資金的な制約から、定められた期間中、除隊兵士に職業訓練や就業の機会を提供することは出来ますが、その後、治安が100%安定する保証はありません。アフガニスタンのDDR計画は、ボン合意に基づき、今年4月に始まったアフガニスタン新生計画(ANBP)の中で、3年以内に治安安定を目指すものです。これは、あくまでも政治プロセスであり、DDR計画終了後の問題に関しては必要に応じて、他に対応策を講じる必要があるとの意見もあります。確かに、アフガニスタンの治安安定は非常に複雑で難しい問題なので、DDR計画のように目標、手続き、期間を限定しないと、DDR計画実施の意味に疑問が生じ、実行出来なくなる可能性もあります。 当センターは2002年4月にアフガニスタン代表事務所を開設し、この国における紛争予防や治安安定のためには何が必要で、紛争予防専門のNGOとして何をすべきかを模索してきました。これまで主にカブール市内で元兵士を含む若年者の職業訓練や地域コミュニティー指導者の平和教育を行なってきました。また、今年、DDR計画の開始が発表されてからは、アフガニスタン政府や国連の担当部署、国際社会の中でDDR計画の担当国である日本大使館と意見交換を行っています。事務所開設以来の活動経験やDDR計画関係機関との意見交換を通じて、紛争予防や治安安定のためにはやはりDDR計画にも盛り込まれている兵士の社会復帰を支援することが重要だとの結論に達しました。また、大規模な資金や人的資源を投入して、全国的に、政治レベルで行なわれるDDR計画と連動しながら、限られた資金や人的資源を活かしつつ、地域性を考慮し、地域の人々の視点に立ったきめ細かな支援を行なうことこそがNGOの役割だと考えています。 |