海外研修:地方視察第四週目(北部視察) |
11月25日(月) 午前中に警察本部を訪れ、警察副長官チャンドラ・フェルナンド氏の講義を受けた。氏は実際のデータを元に、スリランカにおける紛争の歴史や背景について研修生の知識が欠けている部分を中心に説明して下さった。研修生からは今までの研修で得た知識や経験を元に、様々な質問が出された。今回の講義によって、軍と警察の関係についても理解を深めた。氏はどのような質問にも丁寧に応答してくれ、非常に有益な学習の機会を持つことができた。プロパガンダではなく事実を理解することを第一とすべきという姿勢は、警察官としての立場から来ているのであろう。 午後はセワランカ財団のコロンボ事務所を表敬訪問した。コンサルタントスタッフの方から、財団の設立背景や活動形態、組織の特徴などについてブリーフィングして頂いた。 |
11月26日(火) 各自自習と翌週の調査に向けた準備を行った。 |
11月27日(水) 上記に同じ。 |
11月28日(木) 早朝にJCCP事務所を出発、民間航空会社ライオンエアにて空路ジャフナに向かった。ジャフナ空港到着後、セワランカ財団の車で市内に移動したが、途中瓦礫と化した家々が、ジャフナにおける戦闘の激しさを物語っていた。 ジャフナではセワランカ財団のスタッフが移動手段や宿泊施設まで準備して下さっており、これから3日間いろいろな面で彼らのお世話になることになった。まずはUNHCRのジャフナ事務所を訪れ、活動についてブリーフィングを受けた。次にセワランカの帰還避難民支援プログラムを視察した。 午後はCAREのジャフナ事務所を訪問した。CAREでは現地タミル人女性のスタッフ2名からCAREの活動について説明を受けた。CAREジャフナには現地職員しかおらず、彼女たちがリーダー的役割を果たしているということである。自らも紛争によって家を失った経験をもつ二人は、ジャフナの復興のために力を尽くす思いであることを語ってくれた。 夕方からはジャフナのマーケット周辺を研修生各自が自由に視察。数ヶ月前までゴーストタウンであったジャフナであるが、現在はマーケットにはモノも人も溢れていた。今も残る紛争の傷跡とは別に経済が推し進める力は、確実に人々の生活を変えてきている。さらにジャフナにある有名なヒンドゥー寺院も見学することができた。 | (CAREインターナショナルにて、活動説明を聞く研修生達) | | (破壊された教会跡) | |
11月29日(金) 朝7時にジャフナを出発し、LTTEの本拠地キリノッチに向かった。中央部から北部に伸びる唯一の国道A9は今年4月に再開通したばかりである。キリノッチに向かう道沿いにはジャフナ市内以上に破壊された建物の残骸があり、辺り一帯に砲撃によって頭部を吹き飛ばされ、地面から突き出ている棒と化したパルミラの木の姿が残っていた。停戦ラインを超え、これまで政府軍とLTTEの間で激しい攻防が繰り広げられたエレファント・パスを通った。草むらにはさび付いた戦車が放置されており、付近が地雷原であることを示す注意書きもあちらこちらにあり、ジャフナからキリノッチに向かうこの道が民族紛争の現場であったことを厳然と示していた。 キリノッチに到着すると、まずLTTEの行政部門本部を表敬訪問した。LTTE統治下のキリノッチでは、LTTEを通さずして無断で行動することは控えなければならない。挨拶のあと、まずはLTTE直轄のNGOであるTRO(Tamil Rehabilitation Organization)傘下の地雷被害者救済組織White Pigeonに案内された。この団体の活動について説明を一通り受けると、次にTRO傘下であるHDU(Humanitarian Demining Unit)の事務所に案内された。HDUはLTTE統治下のワンニ地域で、現在唯一地雷撤去活動を行っている団体である。MAG(Mine Advisory Group)やNPA(Norwegian People’s Aid)といった国際NGOが彼らに資金・設備供与や撤去作業指導を行っている。HDUでは研修生が職員に質問をし、職員がその関心に応じて組織の説明をして下さった。 再度LTTE行政部門事務所を訪れ昼食を頂いた後、午後にはLTTE統治地区内の地雷撤去作業現場を訪問した。それに先立ち、MAGとNPAの共同事務所において、スタッフよりNPAとMAGの共同地雷撤去支援活動について包括的な説明を受けた。NPA職員から作業手順、安全管理、作業訓練などについて説明を受け、効率的に組織されていることを理解した。 その後は午後5時の停戦ライン閉鎖時間を気にしながら、急いでジャフナ市内に戻った。 | (研修生へ地雷除去活動を説明するNPAのアトキンソン氏) | | (実際の地雷除去活動の様子を見学する研修生) | |
11月30日(土) ジャフナ側の政府統治地区で地雷撤去活動を行う英NGO、HALO Trustの事務所を訪ねた。彼らに同行し、不発弾処理現場を見学した。現場ではアフガニスタン出身の不発弾処理の専門家が、集められた爆弾や手榴弾などに爆破装置をセットしているところであった。爆破処理の仕方について説明を受けた後、安全確保のため200mほど距離を置いた。しばらくして轟音とともに白煙が上がり、爆破処理が完了した。爆破現場を見に行くと直径1mほどの球形の穴が空いており、爆弾等は殆ど跡形もなく吹き飛んでいた。 現場視察を終えてHALO Trustの事務所に戻り、活動について説明を受けた。前日のMAG、NPAの手作業中心の活動に比べて、衛星写真、地雷撤去機械などテクノロジーを駆使した調査・作業方法が取られていることを知り、団体によって用いる手法がかなり異なることが理解できた。 午後はドイツの援助機関であるGTZを訪れ、現地スタッフからその活動について説明を頂いた。GTZはジャフナ地域において最も経験のある援助機関のひとつである。この地域の開発におけるGTZの取り組み等について興味深いお話を伺えたが、時間が足りずにできない質問もあり、残念であった。 夕刻に飛行機でジャフナを出発、約1時間のフライトでコロンボに無事帰着した。 | (HALO Trustによる不発弾処理。爆発の瞬間) | | (ジャフナの町並み) | |
以上 |