人道的地雷除去プロジェクト参加への決意
2003/8/21

 現在、スリランカにおいて人道的地雷除去プロジェクト立ち上げに従事する私も昨年JCCPが主催した「紛争予防市民大学院」セミナーコースに参加した青年海外協力隊OBではあるが、軍での経験などないシビリアンである。地雷除去活動については、これまで軍隊経験者の専売特許であるかのような「常識」が一般的なようである。人道的地雷除去に直接携わる人間として実質的にシビリアン第一号となる私にとっては、こうした常識の壁を打ち破ることから始まった。
 地雷除去活動には軍事的な知識・技術だけでなく、調査、測量、通信、情報分析、ロジスティクス、組織管理、医療・危機管理など様々な要素が総合的に機能することが求められる。その意味でIT産業を始めとする私のこれまでの民間企業での経験も大いに役立っている。
 その私が人道的地雷除去活動に身を投じるに際し、次のような批判を受けることがある。すなわち、「地雷除去活動は各国既成の軍隊や地雷除去団体に任せればよい、日本のシビリアンが今更敢えて実施する必要も意味もない」といった類のものである。
 このような批判に対し、我々の実施する地雷除去活動について認識しておいてもらいたい基本事項を3つ挙げておく。
 第一に、我々の実施する「人道的」地雷除去は、その目的、方法、メンタリティ、全てにおいて、軍隊などの実施する「軍事的」地雷除去とは根本的に異質のものである。「人道的」地雷除去は民間のNGOこそ実施可能であり、その担い手となり得るべき存在である。
 第二に、日本人は今こそ他人任せや事なかれ主義的態度を捨て去らねばならない。これまで日本は地雷除去のようなリスクを伴う活動は一切と言っていいほど敬遠してきた。自分の手は汚さず資金援助ばかりが先行してきた。他の先進国のNGOが危険を覚悟の上で活動しているにもかかわらず、こうした状況では同じ先進国の仲間として国際社会の役割を真に担っているとは言えないのではないか。
 そして第三に、これまで欧米のスタイルが主流であった地雷除去活動のSOP(Standard Operating Procedure)において、その長所を踏襲しつつも、我々は東洋の英知を結集した独自のスタイルを確立していくことを目指す。我々が本気で取り組むならば、欧米を凌ぐSOPと付加価値を創造できるはずである。故にシビリアンである私は地雷除去活動にコミットメントすることを決意した。
 私は現在、デンマークの地雷除去団体であるDDGの協力の下、スリランカにおいて地雷除去訓練、OJTに参加しつつ、地雷の探知、除去、爆破処理手順、国際基準等に関わる知識・技術を吸収しているが、世界の「人道的」地雷除去活動には未だ改善すべき点は多く、そこに我々のもつ長所を十分に発揮しつつ貢献することの意義は大きいと日々感じている。
 地雷による被害は、ある日突然、被災者の一生の過ごし方を悲惨な形で大きく変えてしまう。それは決して心から消え去ることのない災難であると同時に、我々の現場から見るならば、それは公然とまかり通った犯罪である。その悪質性は、子供から老人まで、内紛や戦争とは何ら関係をもたない人々の日々の暮らしはおろか、将来的に社会の安定や平和を脅かす魔(サタン)の所作そのものであると言っても過言ではない。残念ながらこうした地雷による被害は、世界の地雷埋設地域の何処かで、今も引き続き発生しているのが現実の姿である。何よりも大切なことは、地雷除去活動に身を挺する以上、次の時代を担う青年の一人として、無数の地雷による悲惨な現実や危険性を前に、諦めや臆病、傍観的態度は捨て去る決意である。
 時代の潮流はこれまでの軍事的競争、経済的競争の時代を経て、人道的競争の時代に入りつつある。世界への日本の新たな貢献として我々の実施する人道的地雷除去活動がその大河の一滴となることを祈りつつ、私はこの分野におけるナンバーワンとしてではなく、オンリーワンを目指していきたい。

地雷除去訓練中の筆者

報告者:一志 康洋  
(JCCP地雷除去テクニカルアドバイザー候補)

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