「“動く”平和構築ワークショップ」の開催 | 2004/8/25 | 日本紛争予防センター在スリランカ代表事務所では、今年2月から6月にかけて、現地NGO、Hill Country Assembly(HCA)と協力して、「3段階レベルにおける民族融和・信頼醸成ワークショップ」を実施しました。過去、当事務所ではスリランカの平和構築に資するワークショップを数多く行ってきましたが、今回のワークショップは全く異なる方法で実施しました。 このワークショップでは、3日から4日程度のワークショップを、政府・LTTE(タミール・イーラム解放の虎)支配地域の境界線に位置する町で1回、紅茶プランテーションが多く存在するヌワラエリアで1回、そして商業の中心都市であるコロンボで1回の計3回、1週間程の休みを間に挟み、移動しながら行いました。この3回のワークショップを1シリーズとして、計3シリーズ、参加者も1シリーズ約30名で計90名に上りました。参加者の内訳は、境界地域の3地域(バティカロア、トリンコマリー、バブニア)からスリランカタミル人、シンハラ人、ムスリム人が、そして紅茶プランテーション地域からも、シンハラ人とインドタミル人が参加しました。 | | | 左から第1シリーズ、第2シリーズ、第3シリーズの参加者達 | 参加者の多くにとっては、出身地域を出ることもはじめての経験であり、今まで新聞や人づてにしか聞いたことのなかったものを実際に見るということは、非常に貴重な体験になったと思います。各シリーズの第1回目のワークショップでは、他民族・他宗教に対する根強い不信感と見ず知らずの人々と起居を共にする不安感が重なってしまい、参加者が受身となってしまいそうでしたが、夜に行われた交流会のおかげで翌日には新しい環境にもなれて皆積極的に参加していました。 参加者の1人は「3回のワークショップを通して、民族融和・信頼醸成を促進させる紛争予防・解決法などのスキルを身につけることができたと同時に、各地の視察で地域特有の問題を調査することにより、広い視野でこの国の平和構築を見つめることができる様になった」と言います。特に、紅茶プランテーション内を視察した際、劣悪な住環境と過酷な労働条件で働く労働者たちの生活には驚いていたようです。 3シリーズが終了した後、全参加者を一同に集め、統括発表・総会をトリンコマリーで開催しました。参加者達は、久しぶりに再会できたことをまるで昔からの友人であるかのように喜び合っていました。 今回のワークショップは、移動が多かったことと、選挙などの大きな出来事と重なった為、スケージュールのアレンジや参加者の招集などに苦労しましたが、参加者達は自分達の目で各地の状況を把握し、他民族・他宗教と起居を共にしたことで、民族融和・信頼醸成をより身近に感じ、この国が抱える問題をより広い視野で捉えることができるようになりました。以上のことからも、この「“動く”ワークショップ」を開催したことは、平和構築ワークショップの新しい可能性を開くことになったと考えています。 報告者:望月 大平 |