| 開催日時 | 2007年10月22日(月) |
| タイトル | ソマリアおよびコンゴ民主共和国における治安維持部門改革(SSR) |
| 講師 | Freddie Bategereza氏 (国連ソマリア政務事務所(UNPOS)DDR顧問) Jonas Mfouatie氏 (コンゴ民主共和国国連開発計画(UNDP)イトゥリ事務所長) |
—講義内容—
【ソマリア】
講師—Bategereza氏
「脆弱国家における治安部門改革(SSR)の機会と課題—ソマリアを例に—」
Bategereza氏からは、政治的基盤が不安定である現在のソマリアにおけるSSRの概念と、その改革達成のための重要な構成要素(警察改革、 DDR、地雷処理、暫定的な司法制度、法の整備など)について説明が行われた。またSSRの主要な問題点は、ソマリア部族で構成される民間治安部隊であるが、同時に復興も優先される状態のソマリアにおいて、現段階で機能していないSSRを実現するために以下の課題が指摘された。
ソマリアにおけるSSRの4つの課題
1. 前提条件
部族システム(部族社会)は、主要なグループ間で互いに意思の疎通が図れず、不信感を抱かせる要因となっている。2005年、和平協定が調印されたが、調印内容の実現は困難であり、ソマリアでは現在でも政治的不安定状態が続いている。
2.SSR達成の手段
DDRは実施されていないのに加え、法整備も実質的には存在していない。
1.SSRの要素間における格差
現在は、経済的要素が紛争の結果を左右している状態が続いている。また、ソマリアのもう一つの問題は、エチオピア軍によるソマリア暫定連邦政府(Transitional Federal Government, TFG)の保護問題である。
さらにBategereza氏は、政府や部族がそれぞれ自己防衛のために独自の安全保障体制を取っているという事実が、SSR達成に大きな障害となっていると指摘した。結論として、政府が安定していない現在のソマリアでは、SSRが達成されるのは不可能であると強調した。
2.国際的な懐疑的見解
SSRの達成に大きな障害となる政府内部の問題に加え、国際社会がソマリアの国内事情に関心が向いていない現実についても指摘した。国連部隊の不足からソマリアでは武力闘争が広がり、結果無政府状態に陥った経緯があり、現在でも大きな治安上の問題を抱えている。そのため、危険な地域と認識されたままのソマリアには、各国は平和維持軍を派遣するのを避ける傾向にある。
その一方で、ソマリアにおける政治的意志決定の欠如と政府の機能不全は、SSRを麻痺させる重大な要因となっている。また、ソマリアが永続的な平和と持続可能な発展を得られるような政治的解決を成し遂げるためには、現地の人々への積極的な理解を示すことが重要である。そのためには、より具体的で組織的な政策を提示し、紛争を回避する平和的な環境づくりへの働きかけを行う必要があると締めくくった。
【コンゴ民主共和国】
講師—Mfouatie氏
『人間の安全保障面からみた治安部門改革(SSR):コンゴ民主共和国における平和、安定、開発における課題』
Mfouatie氏は、国民生活の安定およびその国の文化を保つことが、コンゴ民主共和国がSSRとともに発展する上で重要であるという持論を展開し、人間の安全保障の観点から捉えるSSRに焦点を当てて説明を行った。
人間の安全保障は、人間の生命への脅威を取り除くことである。そこでMfouatie氏は、適切な紛争後の安全保障戦略は「紛争」と「開発」の双方に目を向けたものでなければならないと強調した。
Mfouatie氏は、コンゴ民主共和国におけるSSRのさまざまなステップについて述べた。その一例として、コンゴ民主共和国軍(FARDC)の計画を例にあげ説明した。FARDC再建構想は最善の策であると思われたが、努力不足と行動の遅れが国家の復興と安定化にとって障害になった。
ソマリアと比較する限りでは、コンゴ民主共和国の未来は明るいといえるだろう。しかし、たとえDDRの達成度が高いとしても、今はできる限り早期に現行の軍と警察における改革を完了させることが重要であると、Mfouatie氏は述べた。
さらに、ベルギー政府やオランダ政府、 EUなど、積極的にコンゴ民主共和国のSSRへ貢献している国際的なドナーの重要性も強調した。また、2000年以降、UNDPは紛争危機・紛争後の国々に対する開発戦略を改訂し、4つの危険因子を示した。それは「不公平、不平等、正当性、不安定性である」。
最後にMfouatie氏は、コミュニティを保護するには、治安の保障、人道支援の提供と危機に晒される市民へのエンパワーメントが必要であると結論付けた。その点では、2006年の選挙は安定したSSRの遂行を促し、コンゴ民主共和国における安全と平和を回復させたというのが彼の見解である。
両氏の講演後、質疑応答が行われた。質問内容は、ソマリアとコンゴ民主共和国でのSSRに留まらず、アフリカ連合(AU)やダルフール危機に関しても質問が出され、アフリカ地域に対する関心の高さが伺えた。
モロイ氏は現在東京外国語大学、特別研究員として日本で活動しています。27日の研究会ではデズモンド氏が参加した国連ミッションを通して、国連DDR 実施における個人の課題をテーマにシエラレオネとハイチにおける敵対的環境下での政治的、社会的なダイナミズムと、それが及ぼすコミュニティの構成員への働きかけを通して地域のそれぞれの役割を持った人々の事業への参加事例を紹介しました。
紛争後、武装グループから動員解除された人々が生計支援のネットワークから切り離されると、社会は再び治安上のリスクを増大させます。よって、こうした人々が市民生活を営むの準備を整えることが重要課題とされ、動員解除された人々だけではなくその家族も含めて武装解除、動員解除、社会復帰(DDR)のプログラムに参加することを促しています。より多くの人々がDDR プログラムに参加することによりプロジェクトの目的が果たされます。
武器回収だけが紛争を解決するのではありません。破壊された武器の数量を数えてもDDR のミッションを評価することにはならないのです。
シエラレオネの事例では、職業訓練のカリキュラムを形成するために参加者の希望を取り入れる等、コミュニティの一人一人がプロジェクトに参画するためにデザインされています。
生計向上のための自立を促すことが、コミュニティに活力を与えます。DDR プロジェクトはコミュニティの構成員が長期的な展望のもとに自分たちのプロジェクトとして感じられるようになることが大切なのです。さらにNGO、政府、開発事業の支援者も長期的な視野からコミュニティと連携することが必要なのです。
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