第9回研究会

開催日時2007年9月11日(火)
タイトルDIAGという試み−アフガニスタンにおけるDDR以降の武装解除
講師窪田朋子氏
(日本貿易振興機構アジア経済研究所・新領域研究センター・国際関係/紛争研究グループ)



DIAGという試み−アフガニスタンにおけるDDR以降の武装解除

窪田朋子氏

 9月11日(火)当センターの人材ネット関係者勉強会による第9回勉強会が開催され、アジア経済研究所の窪田朋子氏よりアフガニスタンDDR以降の武装解除について報告がありました。

 国家再建の政治プロセスが開始されてから約6年の歳月が経ったアフガニスタンでは、治安の悪化が未だに懸念されている。アフガニスタンにおける治安分野改革(SSR)は重要であり、本勉強会はSSRにおける進捗・課題を確認し、非合法武装集団解体(DIAG)に関する理解を深めることを目的とした。

 アフガニスタンのDIAGの課題について語る窪田朋子氏 ー9月11日日本紛争予防センター東京事務局にて SSR の中でも日本が主導したDDRは6万3千人の武装解除を行い2006年に完了した。また、DDRが実施されてる中、DIAGという新たな武装解除プログラムが開始された。DDRでは、すべての武装集団を対象にしなかったことと小型武器の回収を目的としなかったなどの課題を残した。DIAGではそれらの課題を踏まえた上での活動が期待されている一方、道は険しく未だに解体を宣言した武装集団は2桁にとどまるのが現状だと言う。窪田氏は国連や国際治安支援部隊(ISAF)ではなく、国家警察が主体となって武装集団に対して適切な働きかけを行うことが重要であり、時間はかかるけれども習得過程として国際社会も気長にその努力をサポートしなければならないと述べた。

—講演要旨—

 アフガニスタンは国家再建の政治プロセスが開始されてから約6年の歳月が経ったが、いま治安の悪化が懸念されている。民主化プロセスによって生まれた政府が、自らの正当性を確固たるものにするためにもアフガニスタンに於ける治安分野改革(SSR)は重要である。したがって、本勉強会は、アフガニスタンの治安情勢を踏まえながら、SSRの進捗・課題を確認し、現在日本政府が支援している非合法武装集団の解体(DIAG)に関する理解を深めることを目的とした。

 昨夏以降、南部・南東部におけるタリバンの活動は2001年に政権が崩壊してから類のないほど組織化され、外国軍や政府関係者を狙った事件が頻発している。郡庁舎などに対する攻撃・占拠と同時に、遠隔操作爆弾による攻撃が常態化し、一般市民の被害者は増加している。もはや治安事件は南部・南東部に限られる問題ではなく、西部、北部にまで広がりを持っており、今後も自爆テロや遠隔操作爆弾による脅威は続く見込みと窪田氏は述べた。

 では、2002年から国際社会が巨額の支援を行ってきているSSRは果たして何合目まできたのだろうか?その問題意識を念頭に窪田氏は、SSRをピラー毎に分けて進捗と問題点を解説した。結論としては、日本が主導したDDRは予定通り2006年に完了したものの、国軍創設(米)、警察改革(独)、司法改革(伊)、麻薬対策(英)についてはいずれも発展途上で苦戦を強いられているのが現状である。DDRは省庁の能力構築という部分では他の分野よりもはるかに負担が軽かったという点はプログラムが時間通りに完了させることを助けた要因であるが、日本が支援したDDRの成果に持続性を持たせるためには、他の SSRの確実な成長を確保しなければならない。さもなければ、大統領選挙の実施を実現したという良い記憶だけを残して、達成した成果が減じられる可能性は否定できないと窪田氏は指摘した。

 DDRが実施されている中でDIAGという新たな武装解除プログラムが開始された背景について窪田氏は、DDRが積み残した課題を2点挙げた。それは、 DDRは全ての武装集団を対象にしなかったことと小型武器の回収を目的としたものではなかったことである。DIAGはDDRと異なりアフガン政府が主導していくことが期待されているが、その道は険しく歩みは遅い。DDRが6万3千人の武装解除を行った事実と比べれば、未だ正式に解体を宣言した集団数は二桁にとどまるというDIAGの成果は限定的と言えよう。DIAGの障害は数多くあるが、中でも責任ある要職に就きながら武装集団との繋がりを持ち、DIAG に反対する人物の存在である。しかし、カルザイ政権が聞くべきは自らの利得でDIAGに反対する有力者の声ではなく、DIAGを支持している民衆の声のはずである。窪田氏は、国連や国際治安支援部隊ではなく、国家警察が主体となって武装集団に対して適法行為を行うことが重要であり、時間はかかれども習得過程として国際社会も気長にその努力をサポートしなければならないと述べ総括した。最後に、参加者との間で活発な質疑応答が行われた。

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