「パキスタン総選挙監視団参加」緊急在外活動要員第1号としての体験談
伊藤美保子

 緊急在外活動要員候補者登録制度がスタートした直後の本年10月10日にパキスタンで総選挙が行われることになり、日本紛争予防センターにも選挙監視員派遣の要請が来た。私は本年4月の東ティモール大統領選挙監視団にも参加していて、即戦力として相手先からも評価されるであろうとの伊藤理事長の判断から、派遣されることになりました。
 10月4日にイスラマバード入りし、ANFREL(Asian Network for Free Election)というタイに本拠地を置くNGO主催の選挙監視ブリーフィングに出席して、選挙監視のチーム分けや配置決め、選挙キャンペーン期間中の活動計画の立て方(各政党候補者へのインタビュー、選挙キャンペーンの監視のポイント等)や投票日当日の監視のポイント(どのような不正が考えられるか等)、選挙監視員としての行動規範などについて、細かく指導を受け、以後ANFRELと行動を共にしました。
 10月7日には、私が選挙監視をする地域となったペシャワールへ移動し、私を入れて3人の日本人でチームを組み、1,000数ヶ所以上もある投票所の中から実際に投票日当日に監視する20数ヶ所の選定や、そのルートを決め、各政党候補者(合計6名)へのインタビューを行いました。
 投票日当日には、最初に監視をした投票所からやはり選挙違反が出ました。投票所から400メートル以内には候補者のポスターを掲示しない、投票者が投票ブース内で投票している最中には話しかけない等の規則が破られていたのです。中でも驚いたのは、貧困地区の女性たちのIDカード(宗教上の理由から写真が添付されていない)を買い占め、それらを女装(ブルカなどで上半身を完全に隠した姿)した男性支持者に渡し、何度もその男性が投票をしたり、ある地区の男性長老は「もし女性有権者が投票に行った場合には処罰する」と脅して、実際に1人の女性も投票所に現れなかった地区もあったとのことです。
 投票日翌日にはANFRELとして選挙監視レポートをまとめ、翌12日朝に「”公正で自由な選挙”とは程遠い、ずさんな管理体制のもとで行われた選挙であった」との記者発表を行い、地元と海外のマスコミに訴えました。同日午後に行われたEU選挙監視団の記者発表会でも同様の声明を発表したようでした。
 今回の活動で一番印象深かったのは、決してマスコミでは取上げられない、現地女性たちの声、たとえば「投票に使うスタンプのインクに政府が多量の水を含ませているために、投票用紙を2つ折にした時、インクが反対側についてしまい無効票になってしまう」等の声を聞けたことでした。このような貴重な機会を与えてくださった日本紛争予防センターに感謝しています。

以上

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