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第5回人材ネット関係者勉強会の開催

 4月19日(木)当センター人材ネット関係者による第5回勉強会が当センター会議室で開催され、講師の小川和久理事(軍事アナリスト)が「平和構築と日本の国家戦略」と題して概要次のとおり報告しました。

 「平和の実現(平和構築)に向けての日本の役割を考えるには、最初に日本の外交・安全保障構想を描き、そこにおける「平和創造力」(防衛力整備、援助外交など)と「同盟関係の選択」について、その位置づけを整理する必要がある。
 次いで、日本の防衛力の現状について科学的に認識し、それをもとに防衛力整備に関する選択や平和構築への取り組みを進めることが必要である。
 その構造から見たとき、日本の防衛力は外国を壊滅させられるような国家的な戦力投射能力を備えておらず、自立した軍事力ではない。それは、米国が日本の軍事的自立を望まなかった結果で、自衛隊は海上自衛隊の対潜水艦能力と航空自衛隊の防空戦闘能力のみを国際水準以上に保有するにとどまっている。一方、日本列島は米国にとっての戦略的根拠地として位置づけられており、地球の半分の範囲(インド洋の全てと太平洋の3分の2)で行動する米国の軍事力を支えており、日本以外の米国の同盟国にはこの戦略的根拠地としての役割を担う能力(米国と同レベルの工業力、技術力、資金力)が備わっていない。
 この防衛力の現状を踏まえるとき、日本の選択肢は、軍事的自立か、現状のさらなる国益への活用か、に分かれる。前者の軍事的自立のためには、当然、日米同盟の解消が前提となり、その場合、現在の安全のレベルを維持しようとすれば、自衛隊を120万人規模、年間の防衛費は30兆円近く(国民皆兵で人件費をカットしても年間20兆円)を覚悟しなければならない。さらに防衛力強化のために核武装を選択しようとすれば、NPT(核拡散防止条約)から脱退せざるを得なくなり、そこにおいては原子力発電さえままならないという国際的孤立のリスクと直面することになる。
 一方、自立できない軍事力を日米同盟で補う形の現状の継続を日本政府が公式に表明すれば、日本は周辺諸国の懸念や反発を招かない環境のもと、必要とされる国際平和協力活動に自衛隊を派遣できるようになる。自衛隊の派遣によって平和構築の足場を固める日本の国際平和協力活動から生まれる信頼と評価が、日本の安全と繁栄を確かなものにすることは間違いない。
 日本ではあまり理解されていないが、軍事組織を使った警察活動を中心とするPKOは、「暴力の連鎖」を断ち切るためのコントロールされた「強制力」であり、平和構築の足場を固める唯一の手段とさえ言える。
 そこにおいて、国際平和協力活動を行なう各国部隊や組織への攻撃は、国家主権に関わる集団的自衛権の問題としてではなく、「任務に対する攻撃」と位置づけ、正当防衛、緊急避難としての反撃や救援活動が実施されなければならない。
平和構築のためのケーススタディとしてテロとの戦いがあるが、そこにおいても実効性あるロードマップを描いて実現への歩みを進めるべきである。
 イスラム原理主義過激派集団アルカイダのような活動に対しては、テロの根底にある貧困・差別・格差・宗教対立・民族対立などを根絶するための援助外交を中心とする公衆衛生学的アプローチ、世界のテロ組織に関する調査研究の情報を各国と共有し、自国に対する脅威度の高い対象への有効な対策を開発していく予防医学的アプローチ、自国内のテロ対策を国際水準に高めつつテロへの抑止力を備えると同時に、テロ組織が足場にする可能性の高い国(イラク、アフガンなど)や地域を国際協力のもとに安定させていく対症療法的アプローチ、を息長く同時進行させていく必要がある。
 その一方、北朝鮮のような独裁国家の脅威に対しては、まず政治的システムとしての日米同盟を機能させることによって軍事的冒険に走らないよう抑止し、同時に軍事的システムとしてのミサイル防衛体制などの整備によって防衛力をさらに高める営みを進め、北朝鮮の国家を丸ごと安全な状態に着地させていくことが求められる。
 このような視点に立つとき、日本の議論は戦略的視点を欠き、「木を見て森を見ず」の状態に陥っていると言わざるを得ない。

以上の報告の後、参加者たちとの間で大層活発な意見交換が行われました。

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